第十一課 罪のない主イエスの裁判

指示
マルコの福音書の14章1節から15章14節まで読んで下さい。
このページの第十一課を読んで下さい。
必要なら、用語解説を引いてください。
第十一試験の質問に答えて下さい。

神の完全なしもべイエスは、いつもご自分の父をお喜ばせになりました。神は人を愛し、またご自分の御子息も人を愛して助けられました。けれども、ユダヤ人の指導者たちはイエスを憎み、イエスを殺す計画をたてました(1~2節)。

しかし、イエスを愛した人々もいました。ひとりの女は、高価なナルド油をイエスの頭に注ぎました(3~9節)。それにもかかわらず、弟子たちのひとりユダは、金にどん欲で、キリストをその敵の手に渡す約束を結びました(10~11節)。
主イエスはご自分の死ぬことを前もってご存じでした(27節)。ご自分の弟子たちを連れて、祈るためにゲツセマネという所に行かれました(32節)。ユダは、武器を持った群衆を案内して、イエスの所に来ました。彼らはイエスを捕えて行きました。イエスは全能の神であられますから、逃げる力をお持ちでしたが、抵抗することなく、進んで行かれました。

彼らはイエスを連れて、まずイスラエルの大祭司の所に行きました(53節)。キリストは、自分が神の御子息であると答えられたとき、大祭司は激しく反応して、イエスを冒とくの罪で訴えました。そばに立っている人たちはイエスにつばきをかけ、御顔を打ち始めました(65節)。

ペテロは恐れながら、遠くからあとについて行きました。彼は、イエスの弟子だと訴えられたとき、それを否定してしまいました。ペテロは、三度イエスを知らないと言ってしまいましたが、あとでその罪を悔い改めて非常に激しく泣きました。

祭司長たちはイエスを連れて、ローマ帝国の総督ピラトの所に行きました。イエスは、ご自分がイスラエルの王と認知されました(15章2節)。ピラトは、イエスが悪い事を一つも犯されなかったと認めて、イエスを解放しようと思いました。牢にバラバという犯罪者がいました。彼は人殺しをした者でした。この祭りのときに、ひとりの囚人を解放する例年の習慣どおりに、ピラトは、「このユダヤ人の王を釈放してくれというのか。」と言いました。祭司長たちは、群衆がバラバの解放を願って、イエスを十字架につけることを願うために、彼らを動かしました。ピラトは、群衆を喜ばせるために、イエスを十字架につけることを許しました。ピラトは、イエスに死刑を宣告するのは正しくないと知っていました。彼は、イエスが無罪のお方であられると信じていたからです。同じようにあなたも、「キリストと言われているイエスを私はどのようにしましょうか。」ということを考えなければなりません。あなたは、イエスが神の御子息であられると知っています。イエスはあなたの罪のさばきを取り除くために十字架でご自分のいのちを捨てられました。もし、あなたがイエスを断わるならば、あなたは自分の罪の中で死ぬのです。今日、イエス・キリストを信じて、受け入れてください。そうすれば、神はあなたの罪を赦し、あなたをご自分の子にして下さるのです。


マルコによる福音書14章1節~15章14節

14:1 さて、過越の祭りと種なしパンの祝いが二日後に迫っていたので、祭司長、律法学者たちは、どうしたらイエスをだまして捕え、殺すことができるだろうか、とけんめいであった。
14:2 彼らは、「祭りの間はいけない。民衆の騒ぎが起こるといけないから。」と話していた。
14:3 イエスがベタニヤで、らい病人シモンの家におられたとき、食卓についておられると、ひとりの女が、純粋で、非常に高価なナルド油のはいった石膏のつぼを持って来て、そのつぼを割り、イエスの頭に注いだ。
14:4 すると、何人かの者が憤慨して互いに言った。「何のために、香油をこんなにむだにしたのか。
14:5 この香油なら、三百デナリ以上に売れて、貧乏な人たちに施しができたのに。」そうして、その女をきびしく責めた。
14:6 すると、イエスは言われた。「そのままにしておきなさい。なぜこの人を困らせるのですか。わたしのために、りっぱなことをしてくれたのです。
14:7 貧しい人たちは、いつもあなたがたといっしょにいます。それで、あなたがたがしたいときは、いつでも彼らに良いことをしてやれます。しかし、わたしは、いつもあなたがたといっしょにいるわけではありません。
14:8 この女は、自分にできることをしたのです。埋葬の用意にと、わたしのからだに、前もって油を塗ってくれたのです。
14:9 まことに、あなたがたに告げます。世界中のどこででも、福音が宣べ伝えられる所なら、この人のした事も語られて、この人の記念となるでしょう。」
14:10 ところで、イスカリオテ・ユダは、十二弟子のひとりであるが、イエスを売ろうとして祭司長たちのところへ出向いて行った。
14:11 彼らはこれを聞いて喜んで、金をやろうと約束した。そこでユダは、どうしたら、うまいぐあいにイエスを引き渡せるかと、ねらっていた。
14:12 種なしパンの祝いの第一日、すなわち、過越の小羊をほふる日に、弟子たちはイエスに言った。「過越の食事をなさるのに、私たちは、どこへ行って用意をしましょうか。」
14:13 そこで、イエスは、弟子のうちふたりを送って、こう言われた。「都にはいりなさい。そうすれば、水がめを運んでいる男に会うから、その人について行きなさい。
14:14 そして、その人がはいって行く家の主人に、『弟子たちといっしょに過越の食事をする、わたしの客間はどこか、と先生が言っておられる。』と言いなさい。
14:15 するとその主人が自分で、席が整って用意のできた二階の広間を見せてくれます。そこでわたしたちのために用意をしなさい。」
14:16 弟子たちが出かけて行って、都にはいると、まさしくイエスの言われたとおりであった。それで、彼らはそこで過越の食事の用意をした。
14:17 夕方になって、イエスは十二弟子といっしょにそこに来られた。
14:18 そして、みなが席に着いて、食事をしているとき、イエスは言われた。「まことに、あなたがたに告げます。あなたがたのうちのひとりで、わたしといっしょに食事をしている者が、わたしを裏切ります。」
14:19 弟子たちは悲しくなって、「まさか私ではないでしょう。」とかわるがわるイエスに言いだした。
14:20 イエスは言われた。「この十二人の中のひとりで、わたしといっしょに、同じ鉢にパンを浸している者です。
14:21 確かに、人の子は、自分について書いてあるとおりに、去って行きます。しかし、人の子を裏切るような人間はのろわれます。そういう人は生まれなかったほうがよかったのです。」
14:22 それから、みなが食事をしているとき、イエスはパンを取り、祝福して後、これを裂き、彼らに与えて言われた。「取りなさい。これはわたしのからだです。」
14:23 また、杯を取り、感謝をささげて後、彼らに与えられた。彼らはみなその杯から飲んだ。
14:24 イエスは彼らに言われた。「これはわたしの契約の血です。多くの人のために流されるものです。」
14:25 まことに、あなたがたに告げます。神の国で新しく飲むその日までは、わたしはもはや、ぶどうの実で造った物を飲むことはありません。」
14:26 そして、賛美の歌を歌ってから、みなでオリーブ山へ出かけて行った。
14:27 イエスは、弟子たちに言われた。「あなたがたはみな、つまずきます。『わたしが羊飼いを打つ。すると、羊は散り散りになる。』と書いてありますから。
14:28 しかしわたしは、よみがえってから、あなたがたより先に、ガリラヤへ行きます。」
14:29 すると、ペテロがイエスに言った。「たとい全部の者がつまずいても、私はつまずきません。」
14:30 イエスは彼に言われた。「まことに、あなたに告げます。あなたは、きょう、今夜、鶏が二度鳴く前に、わたしを知らないと三度言います。」
14:31 ペテロは力を込めて言い張った。「たとい、ごいっしょに死ななければならないとしても、私は、あなたを知らないなどとは決して申しません。」みなの者もそう言った。
14:32 ゲツセマネという所に来て、イエスは弟子たちに言われた。「わたしが祈る間、ここにすわっていなさい。」
14:33 そして、ペテロ、ヤコブ、ヨハネをいっしょに連れて行かれた。イエスは深く恐れもだえ始められた。
14:34 そして彼らに言われた。「わたしは悲しみのあまり死ぬほどです。ここを離れないで、目をさましていなさい。」
14:35 それから、イエスは少し進んで行って、地面にひれ伏し、もしできることなら、この時が自分から過ぎ去るようにと祈り、
14:36 またこう言われた。「アバ、父よ。あなたにおできにならないことはありません。どうぞ、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの願うことではなく、あなたのみこころのままを、なさってください。」
14:37 それから、イエスは戻って来て、彼らの眠っているのを見つけ、ペテロに言われた。「シモン。眠っているのか。一時間でも目を覚ましていることができなかったのか。
14:38 誘惑に陥らないように、目を覚まして、祈り続けなさい。心は燃えていても、肉体は弱いのです。」
14:39 イエスは再び離れて行き、前と同じことばで祈られた。
14:40 そして、また戻って来て、ご覧になると、彼らは眠っていた。ひどく眠けがさしていたのである。彼らは、イエスにどう言ってよいか、わからなかった。
14:41 イエスは三度目に来て、彼らに言われた。「まだ眠って休んでいるのですか。もう十分です。時が来ました。見なさい。人の子は罪人たちの手に渡されます。
14:42 立ちなさい。さあ、行くのです。見なさい。わたしを裏切る者が近づきました。」
14:43 そしてすぐ、イエスがまだ話しておられるうちに、十二弟子のひとりのユダが現われた。剣や棒を手にした群衆もいっしょであった。群衆はみな、祭司長、律法学者、長老たちから差し向けられたものであった。
14:44 イエスを裏切る者は、彼らと前もって次のような合図を決めておいた。「私が口づけをするのが、その人だ。その人をつかまえて、しっかりと引いて行くのだ。」
14:45 それで、彼はやって来るとすぐに、イエスに近寄って、「先生。」と言って、口づけした。
14:46 すると人々は、イエスに手をかけて捕えた。
14:47 そのとき、イエスのそばに立っていたひとりが、剣を抜いて大祭司のしもべに撃ちかかり、その耳を切り落とした。
14:48 イエスは彼らに向かって言われた。「まるで強盗にでも向かうように、剣や棒を持ってわたしを捕えに来たのですか。
14:49 わたしは毎日、宮であなたがたといっしょにいて、教えていたのに、あなたがたは、わたしを捕えなかったのです。しかし、こうなったのは聖書のことばが実現するためです。」
14:50 すると、みながイエスを見捨てて、逃げてしまった。
14:51 ある青年が、素はだに亜麻布を一枚まとったままで、イエスについて行ったところ、人々は彼を捕えようとした。
14:52 すると、彼は亜麻布を脱ぎ捨てて、はだかで逃げた。
14:53 彼らがイエスを大祭司のところに連れて行くと、祭司長、長老、律法学者たちがみな、集まって来た。
14:54 ペテロは、遠くからイエスのあとをつけながら、大祭司の庭の中まではいって行った。そして、役人たちといっしょにすわって、火にあたっていた。
14:55 さて、祭司長たちと全議会は、イエスを死刑にするために、イエスを訴える証拠をつかもうと努めたが、何も見つからなかった。
14:56 イエスに対する偽証をした者は多かったが、一致しなかったのである。
14:57 すると、数人が立ち上がって、イエスに対する偽証をして、次のように言った。
14:58 「私たちは、この人が『わたしは手で造られたこの神殿をこわして、三日のうちに、手で造られない別の神殿を造って見せる。』と言うのを聞きました。」
14:59 しかし、この点でも証言は一致しなかった。
14:60 そこで大祭司が立ち上がり、真中に進み出てイエスに尋ねて言った。「何も答えないのですか。この人たちが、あなたに不利な証言をしていますが、これはどうなのですか。」
14:61 しかし、イエスは黙ったままで、何もお答えにならなかった。大祭司は、さらにイエスに尋ねて言った。「あなたは、ほむべき方の子、キリストですか。」
14:62 そこでイエスは言われた。「わたしは、それです。人の子が、力ある方の右の座に着き、天の雲に乗って来るのを、あなたがたは見るはずです。」
14:63 すると、大祭司は、自分の衣を引き裂いて言った。「これでもまだ、証人が必要でしょうか。
14:64 あなたがたは、神をけがすこのことばを聞いたのです。どう考えますか。」すると、彼らは全員で、イエスには死刑に当たる罪があると決めた。
14:65 そうして、ある人々は、イエスにつばきをかけ、御顔をおおい、こぶしでなぐりつけ、「言い当てて見ろ。」などと言ったりし始めた。また、役人たちは、イエスを受け取って、平手で打った。
14:66 ペテロが下の庭にいると、大祭司の女中のひとりが来て、
14:67 ペテロが火にあたっているのを見かけ、彼をじっと見つめて、言った。「あなたも、あのナザレ人、あのイエスといっしょにいましたね。」
14:68 しかし、ペテロはそれを打ち消して、「何を言っているのか、わからない。見当もつかない。」と言って、出口のほうへと出て行った。すると、雄鶏が鳴いた。
14:69 すると女中は、ペテロを見て、そばに立っていた人たちに、また、「この人はあの仲間です。」と言いだした。
14:70 しかし、ペテロは再び打ち消した。しばらくすると、そばに立っていたその人たちが、またペテロに言った。「確かに、あなたはあの仲間だ。ガリラヤ人なのだから。」
14:71 しかし、彼はのろいをかけて誓い始め、「私は、あなたがたの話しているその人を知りません。」と言った。
14:72 するとすぐに、鶏が、二度目に鳴いた。そこでペテロは、「鶏が二度鳴く前に、あなたは、わたしを知らないと三度言います。」というイエスのおことばを思い出した。それに思い当たったとき、彼は泣き出した。

15章1節~14節

15:1 夜が明けるとすぐに、祭司長たちをはじめ、長老、律法学者たちと、全議会とは協議をこらしたすえ、イエスを縛って連れ出し、ピラトに引き渡した。
15:2 ピラトはイエスに尋ねた。「あなたは、ユダヤ人の王ですか。」イエスは答えて言われた。「そのとおりです。」
15:3 そこで、祭司長たちはイエスをきびしく訴えた。
15:4 ピラトはもう一度イエスに尋ねて言った。「何も答えないのですか。見なさい。彼らはあんなにまであなたを訴えているのです。」
15:5 それでも、イエスは何もお答えにならなかった。それにはピラトも驚いた。
15:6 ところでピラトは、その祭りには、人々の願う囚人をひとりだけ赦免するのを例としていた。
15:7 たまたま、バラバという者がいて、暴動のとき人殺しをした暴徒たちといっしょに牢にはいっていた。
15:8 それで、群衆は進んで行って、いつものようにしてもらうことを、ピラトに要求し始めた。
15:9 そこでピラトは、彼らに答えて、「このユダヤ人の王を釈放してくれというのか。」と言った。
15:10 ピラトは、祭司長たちが、ねたみからイエスを引き渡したことに、気づいていたからである。
15:11 しかし、祭司長たちは群衆を扇動して、むしろバラバを釈放してもらいたいと言わせた。
15:12 そこで、ピラトはもう一度答えて、「ではいったい、あなたがたがユダヤ人の王と呼んでいるあの人を、私にどうせよというのか。」と言った。
15:13 すると彼らはまたも「十字架につけろ。」と叫んだ。
15:14 だが、ピラトは彼らに、「あの人がどんな悪いことをしたというのか。」と言った。しかし、彼らはますます激しく「十字架につけろ。」と叫んだ。

第十一課の試験