第六課 先祖の言い伝え

指示
マルコの福音書の7章から8章の26節まで読んで下さい。
このページの第六課を読んで下さい。
必要なら、用語解説を引いてください。
第六試験の質問に答えて下さい。

主イエス・キリストは五千人の人々を食べさせ、病人を癒し、神のみことばを教えられました。ユダヤ人の指導者たちはなぜキリストを憎んだのでしょうか。彼らは、自分が神のしもべであると言っていましたが、キリストの教えを受け入れようとしませんでした。先祖たちの教えのほうを好んだからです。主は、人が自分の親を尊敬するようにお命じになりますが(10節)、人に従うより、まことの神に従うべきです。

7章で、イエスの弟子たちが自分の手を洗わなかったので、ユダヤ人たちは非難しました。体を清潔にするのは良いことですが、パリサイ人たちは行き過ぎて、このような小さいことを強調し、神の律法の重要な命令を無視してしまいました。人が自分の罪から救われるのは、神の律法を守ることによるのではなく、かえってイエス・キリストが身代わりとして人の罪のために十字架で死んで下さったのを信頼することによるのです。イエスは、「外側から人にはいって、人を汚すことのできる物(例えば、食べ物)は何もありません。人から出て来るもの(例えば、言葉と行ない)が、人を汚すものなのです。」と言われました(14~23節)。

病人を癒して下さったキリスト
(24~37節)
それから、イエスは外国人の病気の娘を癒すために、長い旅をされました(24~30節)。その女はユダヤ人ではありませんでした。初めに、キリストの返事は残酷に思われましたが、キリストは彼女の信仰を試されたのです。彼女は、自分のことを、食卓の下で子どもたちのパンくずをいただく犬と比べました。イエスは、彼女のヘリ下りと絶望をご覧になり、彼女を哀れんで、その願いをかなえられたのです。このことによって、キリストのすべての人に対する愛を見ることが出来ます。

それから、イエスは、耳が聞こえず、話せない人を癒されました(31~37節)。それを見た人たちは正しく言いました。「この方のなさったことは、みなすばらしい。」

キリストを信じようとしなかったパリサイ人たち
(8章)
8章で、キリストは、少量の食べ物によって四千人の人々を食べさせられました。今回は、七つのかごの残り物がありました(1~9節)。その後、イエスは盲人を癒されました。イエスがこれらのすばらしい行ないをなさっても、パリサイ人たちはイエスを試そうとして、イエスの権威を証明する天からのしるしを求めました。しかし、イエスはすでに多くのしるしを与えられました! 信じようとしない人に信じさせるしるし、あるいは奇蹟はありません。もし人は神のはっきりと示されているみことば(聖書)を読んで、キリストを信じようとしなければ、どんなしるしを見ても、キリストを信じないでしょう。キリストは、ご自分の弟子たちがパリサイ人たちのような者にならないように、厳しく戒められました。パリサイ人たちは、神の戒めを捨てて、人間の習慣を大事にしてしまったからです。聖書は、まことの神のみことばですから、聖書以外には、神の完全な教えを見つけることは出来ません。

聖書には、キリストの生活の記録が書いてあります。あなたが自分の罪を悔い改めて、イエスを信じれば、永遠のいのちを持っているという約束も書いてあります。


マルコによる福音書7章~8章26節

7:1 さて、パリサイ人たちと幾人かの律法学者がエルサレムから来ていて、イエスの回りに集まった。
7:2 イエスの弟子のうちに、汚れた手で、すなわち洗わない手でパンを食べている者があるのを見て、
7:3 --- パリサイ人をはじめユダヤ人はみな、昔の人たちの言い伝えを堅く守って、手をよく洗わないでは食事をせず、
7:4 また、市場から帰ったときには、からだをきよめてからでないと食事をしない。まだこのほかにも、杯、水差し、銅器を洗うことなど、堅く守るように伝えられた、しきたりがたくさんある。---
7:5 パリサイ人と律法学者たちは、イエスに尋ねた。「なぜ、あなたの弟子たちは、昔の人たちの言い伝えに従って歩まないで、汚れた手でパンを食べるのですか。」
7:6 イエスは彼らに言われた。「イザヤはあなたがた偽善者について預言をして、こう書いているが、まさにそのとおりです。『この民は、口先ではわたしを敬うが、その心は、わたしから遠く離れている。
7:7 彼らが、わたしを拝んでも、むだなことである。人間の教えを、教えとして教えるだけだから。』
7:8 あなたがたは、神の戒めを捨てて、人間の言い伝えを堅く守り、すなわち鍋や杯を洗ったり、こういうほかの事もたくさんやったりするからです。」
7:9 また言われた。「あなたがたは、自分たちの言い伝えを守るために、よくも神の戒めをないがしろにしたものです。
7:10 モーセは、『あなたの父と母を敬え。』また『父や母をののしる者は、死刑に処せられる。』と言っています。
7:11 それなのに、あなたがたは、もし人が父や母に向かって、私からあなたのために上げられる物は、コルバン(すなわち、ささげ物)になりました、と言えば、
7:12 その人には、父や母のために、もはや何もさせないようにしています。
7:13 こうしてあなたがたは、自分たちが受け継いだ言い伝えによって、神のことばを空文にしています。そして、これと同じようなことを、たくさんしているのです。」
7:14 イエスは再び群衆を呼び寄せて言われた。「みな、わたしの言うことを聞いて、悟るようになりなさい。
7:15 外側から人にはいって、人を汚すことのできる物は何もありません。人から出て来るものが、人を汚すものなのです。
7:16 聞く耳のある者は聞きなさい。」
7:17 イエスが群衆を離れて、家にはいられると、弟子たちは、このたとえについて尋ねた。
7:18 イエスは言われた。「あなたがたまで、そんなにわからないのですか。外側から人にはいって来る物は人を汚すことができない、ということがわからないのですか。
7:19 そのような物は、人の心には、はいらないで、腹にはいり、そして、かわやに出されてしまうのです。」イエスは、このように、すべての食物をきよいとされた。
7:20 また言われた。「人から出るもの、これが、人を汚すのです。
7:21 内側から、すなわち、人の心から出て来るものは、悪い考え、不品行、盗み、殺人、
7:22 姦淫、貪欲、よこしま、欺き、好色、ねたみ、そしり、高ぶり、愚かさであり、
7:23 これらの悪はみな、内側から出て、人を汚すのです。」
7:24 イエスは、そこを出てツロの地方へ行かれた。家にはいられたとき、だれにも知られたくないと思われたが、隠れていることはできなかった。
7:25 汚れた霊につかれた小さい娘のいる女が、イエスのことを聞きつけてすぐにやって来て、その足もとにひれ伏した。
7:26 この女はギリシヤ人で、スロ・フェニキヤの生まれであった。そして、自分の娘から悪霊を追い出してくださるようにイエスに願い続けた。
7:27 するとイエスは言われた。「まず子どもたちに満腹させなければなりません。子どもたちのパンを取り上げて、小犬に投げてやるのはよくないことです。」
7:28 しかし、女は答えて言った。「主よ。そのとおりです。でも、食卓の下の小犬でも、子どもたちのパンくずをいただきます。」
7:29 そこでイエスは言われた。「そうまで言うのですか。それなら家にお帰りなさい。悪霊はあなたの娘から出て行きました。」
7:30 女が家に帰ってみると、その子は床の上に伏せっており、悪霊はもう出ていた。
7:31 それから、イエスはツロの地方を去り、シドンを通って、もう一度、デカポリス地方のあたりのガリラヤ湖に来られた。
7:32 人々は、耳が聞こえず、口のきけない人を連れて来て、彼の上に手を置いてくださるように願った。
7:33 そこで、イエスは、その人だけを群衆の中から連れ出し、その両耳に指を差し入れ、それからつばきをして、その人の舌にさわられた。
7:34 そして、天を見上げ、深く嘆息して、その人に「エパタ。」すなわち、「開け。」と言われた。
7:35 すると彼の耳が開き、舌のもつれもすぐに解け、はっきりと話せるようになった。
7:36 イエスは、このことをだれにも言ってはならない、と命じられたが、彼らは口止めされればされるほど、かえって言いふらした。
7:37 人々は非常に驚いて言った。「この方のなさったことは、みなすばらしい。つんぼを聞こえるようにし、おしを話せるようにしてくださった。」

8章1節~26節

8:1 そのころ、また大ぜいの人の群れが集まっていたが、食べる物がなかったので、イエスは弟子たちを呼んで言われた。
8:2 「かわいそうに、この群衆はもう三日間もわたしといっしょにいて、食べる物を持っていないのです。
8:3 空腹のまま家に帰らせたら、途中で動けなくなるでしょう。それに遠くから来ている人もいます。」
8:4 弟子たちは答えた。「こんなへんぴな所で、どこからパンを手に入れて、この人たちに十分食べさせることができましょう。」
8:5 すると、イエスは尋ねられた。「パンはどれぐらいありますか。」弟子たちは、「七つです。」と答えた。
8:6 すると、イエスは群衆に、地面にすわるようにおっしゃった。それから、七つのパンを取り、感謝をささげてからそれを裂き、人々に配るように弟子たちに与えられたので、弟子たちは群衆に配った。
8:7 また、魚が少しばかりあったので、そのために感謝をささげてから、これも配るように言われた。
8:8 人々は食べて満腹した。そして余りのパン切れを七つのかごに取り集めた。
8:9 人々はおよそ四千人であった。それからイエスは、彼らを解散させられた。
8:10 そしてすぐに弟子たちとともに舟に乗り、ダルマヌタ地方へ行かれた。
8:11 パリサイ人たちがやって来て、イエスに議論をしかけ、天からのしるしを求めた。イエスをためそうとしたのである。
8:12 イエスは、心の中で深く嘆息して、こう言われた。「なぜ、今の時代はしるしを求めるのか。まことに、あなたがたに告げます。今の時代には、しるしは絶対に与えられません。」
8:13 イエスは彼らを離れて、また舟に乗って向こう岸へ行かれた。
8:14 弟子たちは、パンを持って来るのを忘れ、舟の中には、パンがただ一つしかなかった。
8:15 そのとき、イエスは彼らに命じて言われた。「パリサイ人のパン種とヘロデのパン種とに十分気をつけなさい。」
8:16 そこで弟子たちは、パンを持っていないということで、互いに議論し始めた。
8:17 それに気づいてイエスは言われた。「なぜ、パンがないといって議論しているのですか。まだわからないのですか、悟らないのですか。心が堅く閉じているのですか。
8:18 目がありながら見えないのですか。耳がありながら聞こえないのですか。あなたがたは、覚えていないのですか。
8:19 わたしが五千人に五つのパンを裂いて上げたとき、パン切れを取り集めて、幾つのかごがいっぱいになりましたか。」彼らは答えた。「十二です。」
8:20 「四千人に七つのパンを裂いて上げたときは、パン切れを取り集めて幾つのかごがいっぱいになりましたか。」彼らは答えた。「七つです。」
8:21 イエスは言われた。「まだ悟らないのですか。」
8:22 彼らはベツサイダに着いた。すると人々が、盲人を連れて来て、さわってやってくださるようにイエスに願った。
8:23 イエスは盲人の手を取って村の外に連れて行かれた。そしてその両眼につばきをつけ、両手を彼に当ててやって、「何か見えるか。」と聞かれた。
8:24 すると彼は、見えるようになって、「人が見えます。木のようですが、歩いているのが見えます。」と言った。
8:25 それから、イエスはもう一度彼の両眼に両手を当てられた。そして、彼が見つめていると、すっかり直り、すべてのものがはっきり見えるようになった。
8:26 そこでイエスは、彼を家に帰し、「村にはいって行かないように。」と言われた。

第六課の試験