指示
マルコの福音書の11章から12章の17節まで読んで下さい。
このページの第九課を読んで下さい。
必要なら、用語解説を引いてください。
第九試験の質問に答えて下さい。
イエスがこの世に来られる前に、神が遣わされた預言者たちは、大いなる王がいつか現われると発表していました。彼らは、その王がろばに乗って、平和を持って来るのだ、と言いました。
主イエスは、神のみこころをすべて果たされた神のしもべであるだけではなく、全世界を治める王でもあられます。11章で、イエスはエルサレムに入り、ユダヤ人の王として自分ご自身をお現わしになりました。平民は喜んでイエスを迎えに行きましたが(9、10節)、彼らは自分の罪を悔い改める心がありませんでした。イエスは、ユダヤ人たち、特に彼らの指導者たちとたくさんの討議をされました。12~14節に書いてあるいちじくの木のことは、その時代の大部分のイスラエル人の心の状態を示しました。彼らは神に従おうとする実を結びませんでした。
キリストの権威
(15~33節)
イエスはエルサレムで宮(神殿)に入り、そこで売り買いしている者たちを追い出されました。ユダヤ人の宗教の指導者たちはイエスに立ち向かって、だれがイエスにこんなことを行なう権威を与えたのか、と尋ねました。しかし、彼らは何度もすでにイエスの教えを拒絶したので、イエスは彼らに答えないことに決められました。
意味深いたとえ話
(12章1~12節)
12章で、イエスはぶどう園のたとえを話されました。ぶどう園を造った人はそれを農夫たちにまかせて、長い旅に出かけました。収穫のときに、彼はぶどうを受け取るために、自分のしもべを農夫たちのところに遣わしましたが、農夫たちはそのしもべを袋だたきにして、手ぶらで追い払いました。別のしもべが遣わされたのですが、農夫たちに傷つけられました。別のしもべたちも遣わされましたが、彼らも農夫たちに袋だたきにされ、また幾人かが殺されました。最後に、ぶどう園の主人は自分の愛する息子を遣わしたのですが、息子も農夫たちに殺されました。
このたとえ話は、神とイスラエルとの関係を示しています。神はイスラエルの人たちをご自分の民とし、彼らを豊かに祝福されました。神は何度もご自分のしもべ預言者たちをイスラエルの人々に遣わされましたが、その中にはイスラエル人によって殺された預言者がいました。最後に、神はご自分の御子息を遣わされましたが、彼らは御子息をも殺してしまいました。神は、このように神に反抗する人をさばかれるのです。
パリサイ人たちは主イエスをご自分のことばでわなに落とし入れようとしました。しかしイエスはご自分の知恵で彼らを驚かせて、お困らせになりました(13~27節)。
実際に、大勢の人は、キリストがすばらしい先生であった、と思うかもしれませんが、彼らは自分の罪から離れようとはしません。神は、ご自分の御子息を拒むすべての人をさばかれますが、御子息イエス・キリストを信じるすべての人を救って下さいます。いつかイエスはこの世に再び来られます。私たちには、このことがいつ起こるのか分かりません。キリストは来られるとき、ご自分を信じようとしなかったすべての人をさばかれるのです。ただ今、あなたの救い主としてイエス・キリストに信頼してください。そうすれば、あなたは将来のことを恐れる必要はありません。
マルコによる福音書11章~12章17節
11:1 さて、彼らがエルサレムの近くに来て、オリーブ山のふもとのベテパゲとベタニヤに近づいたとき、イエスはふたりの弟子を使いに出して、
11:2 言われた。「向こうの村へ行きなさい。村にはいるとすぐ、まだだれも乗ったことのない、ろばの子が、つないであるのに気がつくでしょう。それをほどいて、引いて来なさい。
11:3 もし、『なぜそんなことをするのか。』と言う人があったら、『主がお入用なのです。すぐに、またここに送り返されます。』と言いなさい。」
11:4 そこで、出かけて見ると、表通りにある家の戸口に、ろばの子が一匹つないであったので、それをほどいた。
11:5 すると、そこに立っていた何人かが言った。「ろばの子をほどいたりして、どうするのですか。」
11:6 弟子たちが、イエスの言われたとおりを話すと、彼らは許してくれた。
11:7 そこで、ろばの子をイエスのところへ引いて行って、自分たちの上着をその上に掛けた。イエスはそれに乗られた。
11:8 すると、多くの人が、自分たちの上着を道に敷き、またほかの人々は、木の葉を枝ごと野原から切って来て、道に敷いた。
11:9 そして、前を行く者も、あとに従う者も、叫んでいた。「ホサナ。祝福あれ。主の御名によって来られる方に。
11:10 祝福あれ。主の御名によって来られた、われらの父ダビデの国に。ホサナ。いと高き所に。」
11:11 こうして、イエスはエルサレムに着き、宮にはいられた。そして、すべてを見て回った後、時間ももうおそかったので、十二弟子といっしょにベタニヤに出て行かれた。
11:12 翌日、彼らがベタニヤを出たとき、イエスは空腹を覚えられた。
11:13 葉の茂ったいちじくの木が遠くに見えたので、それに何かありはしないかと見に行かれたが、そこに来ると、葉のほかは何もないのに気づかれた。いちじくのなる季節ではなかったからである。
11:14 イエスは、その木に向かって言われた。「今後、いつまでも、だれもおまえの実を食べることのないように。」弟子たちはこれを聞いていた。
11:15 それから、彼らはエルサレムに着いた。イエスは宮にはいり、宮の中で売り買いしている人々を追い出し始め、両替人の台や、鳩を売る者たちの腰掛けを倒し、
11:16 また宮を通り抜けて器具を運ぶことをだれにもお許しにならなかった。
11:17 そして、彼らに教えて言われた。「『わたしの家は、すべての民の祈りの家と呼ばれる。』と書いてあるではありませんか。それなのに、あなたがたはそれを強盗の巣にしたのです。」
11:18 祭司長、律法学者たちは聞いて、どのようにしてイエスを殺そうかと相談した。イエスを恐れたからであった。なぜなら、群衆がみなイエスの教えに驚嘆していたからである。
11:19 夕方になると、イエスとその弟子たちは、いつも都から外に出た。
11:20 朝早く、通りがかりに見ると、いちじくの木が根まで枯れていた。
11:21 ペテロは思い出して、イエスに言った。「先生。ご覧なさい。あなたののろわれたいちじくの木が枯れました。」
11:22 イエスは答えて言われた。「神を信じなさい。
11:23 まことに、あなたがたに告げます。だれでも、この山に向かって、『動いて、海にはいれ。』と言って、心の中で疑わず、ただ、自分の言ったとおりになると信じるなら、そのとおりになります。
11:24 だからあなたがたに言うのです。祈って求めるものは何でも、すでに受けたと信じなさい。そうすれば、そのとおりになります。
11:25 また立って祈っているとき、だれかに対して恨み事があったら、赦してやりなさい。そうすれば、天におられるあなたがたの父も、あなたがたの罪を赦してくださいます。
11:26 しかし、もし赦してやらないなら、あなたがたの天の父も、あなたがたの罪を赦してくださいません。」
11:27 彼らはまたエルサレムに来た。イエスが宮の中を歩いておられると、祭司長、律法学者、長老たちが、イエスのところにやって来た。
11:28 そして、イエスに言った。「何の権威によって、これらのことをしておられるのですか。だれが、あなたにこれらのことをする権威を授けたのですか。」
11:29 そこでイエスは彼らに言われた。「一言尋ねますから、それに答えなさい。そうすれば、わたしも、何の権威によってこれらのことをしているかを、話しましょう。
11:30 ヨハネのバプテスマは、天から来たのですか、人から出たのですか。答えなさい。」
11:31 すると、彼らは、こう言いながら、互いに論じ合った。「もし、天から、と言えば、それならなぜ、彼を信じなかったかと言うだろう。
11:32 だからといって、人から、と言ってよいだろうか。」彼らは群衆を恐れていたのである。というのは、人々がみな、ヨハネは確かに預言者だと思っていたからである。
11:33 そこで彼らは、イエスに答えて、「わかりません。」と言った。そこでイエスは彼らに、「わたしも、何の権威によってこれらのことをするのか、あなたがたに話すまい。」と言われた。
12章1節~17節
12:1 それからイエスは、たとえを用いて彼らに話し始められた。「ある人がぶどう園を造って、垣を巡らし、酒ぶねを掘り、やぐらを建て、それを農夫たちに貸して、旅に出かけた。
12:2 季節になると、ぶどう園の収穫の分けまえを受け取りに、しもべを農夫たちのところへ遣わした。
12:3 ところが、彼らは、そのしもべをつかまえて袋だたきにし、何も持たせないで送り帰した。
12:4 そこで、もう一度別のしもべを遣わしたが、彼らは、頭をなぐり、はずかしめた。
12:5 また別のしもべを遣わしたところが、彼らは、これも殺してしまった。続いて、多くのしもべをやったけれども、彼らは袋だたきにしたり、殺したりした。
12:6 その人には、なおもうひとりの者がいた。それは愛する息子であった。彼は、『私の息子なら、敬ってくれるだろう。』と言って、最後にその息子を遣わした。
12:7 すると、その農夫たちはこう話し合った。『あれはあと取りだ。さあ、あれを殺そうではないか。そうすれば、財産はこちらのものだ。』
12:8 そして、彼をつかまえて殺してしまい、ぶどう園の外に投げ捨てた。
12:9 ところで、ぶどう園の主人は、どうするでしょう。彼は戻って来て、農夫どもを打ち滅ぼし、ぶどう園をほかの人たちに与えてしまいます。
12:10 あなたがたは、次の聖書のことばを読んだことがないのですか。『家を建てる者たちの見捨てた石、それが礎の石になった。
12:11 これは主のなさったことだ。私たちの目には、不思議なことである。』」
12:12 彼らは、このたとえ話が、自分たちをさして語られたことに気づいたので、イエスを捕えようとしたが、やはり群衆を恐れた。それで、イエスを残して、立ち去った。
12:13 さて、彼らは、イエスに何か言わせて、わなに陥れようとして、パリサイ人とヘロデ党の者数人をイエスのところへ送った。
12:14 彼らはイエスのところに来て、言った。「先生。私たちは、あなたが真実な方で、だれをもはばからない方だと存じています。あなたは人の顔色を見ず、真理に基づいて神の道を教えておられるからです。ところで、カイザルに税金を納めることは律法にかなっていることでしょうか、かなっていないことでしょうか。納めるべきでしょうか、納めるべきでないのでしょうか。」
12:15 イエスは彼らの擬装を見抜いて言われた。「なぜ、わたしをためすのか。デナリ銀貨を持って来て見せなさい。」
12:16 彼らは持って来た。そこでイエスは彼らに言われた。「これはだれの肖像ですか。だれの銘ですか。」彼らは、「カイザルのです。」と言った。
12:17 するとイエスは言われた。「カイザルのものはカイザルに返しなさい。そして神のものは神に返しなさい。」彼らはイエスに驚嘆した。